ことでん今橋駅から徒歩約6分。真っ赤な外観がひときわ目を引く「INOUE BAKERY(イノウエベーカリー)」は、“日常の食卓をちょっと幸せに”をコンセプトに地域に根差したパン屋です。20年近くこの場所で営業を続けているとあって、近くの学校に通う学生や周辺で働くビジネスマン、観光客など、年齢や国籍問わず幅広いお客さんがひっきりなしに訪れていました。
・「INOUE BAKERY (イノウエベーカリー)」
ことでん今橋駅から徒歩約6分。真っ赤な外観がひときわ目を引く「INOUE BAKERY(イノウエベーカリー)」は、“日常の食卓をちょっと幸せに”をコンセプトに、2006年のオープンから現在まで、地域で愛され続けるているお店。
というのも高松商業高校のすぐ隣という立地で、学生もよく訪れる同店。20年近くこの場所で営業を続けていることから、成長した学生が子どもを連れてパンを買いに来ることもあるそう。ほかにも近所の美容室や英会話教室の講師、ゲストハウスに宿泊中の観光客など、世代や国籍問わず幅広い客層が朝食やランチ、おやつにと同店のパンを求めて訪れています。
店主の井上直也さんの実家は精肉店。元は実家のある岡山県玉野市で、精肉店に併設する形でベーカリーを開業していました。井上さんのお母さまが趣味でケーキやパンを作り、店内で販売していたことから、井上さん自身もパン作りに興味が湧いたと言います。
高松市出身の奥さま・菜々子さんとの結婚を機に移住し、現在の場所で夫婦2人のお店をスタートさせました。
遠くからでもよく目立つ真っ赤な外観は、元の店舗に付いていた日除けが赤だったことがきっかけ。パッと目に入りやすく、なんのお店か興味を持ってもらえるよう赤〜い外観になりました。
店内は温かみのあるウッド調で、入ってすぐの場所にはコロナ禍を機にしつらえたガラスのショーケースが。そのすぐ隣にはイートインスペースも設置。その場でいただくこともできます。
出入り口はまちなかループバスのバス停がある通り沿いと、高松商業高校側の東西2カ所にあります。駐車場は店舗南側のコインパーキング隣に無料で2台分用意されているので、車または公共交通機関の利用がベター。
ショーウインドウ奥で慌ただしく稼働している工房では、真剣にオーブンの中をのぞき込みながら、パン生地の仕込みを行う井上さんの姿が。パンによって配合を変えているという、国産と外国産の小麦粉、卵は三木町の東山産業のものを使用しています。丹精込めてこねられた真っ白なパン生地が、香ばしい焼き色となって次々と店頭に並べられていく様子は見ているだけでお腹が空いてきます。
工房の片隅では、奥さまが惣菜パンを作っていました。仕込みから梱包まで一貫して、一つひとつ丁寧に仕上げていきます。惣菜などに使われている野菜は、パンの卸を行っている朝市の産直で、新鮮なものを仕入れるそう。
・約50種以上もあるパンは目移り必至
『カスタネージュ』216円
季節限定の『カスタネージュ』はカスタードクリームが溶けにくい、秋のシルバーウィークごろから5月のゴールデンウィークごろまで限定で登場。人気商品のため多くのお客さんから「カスタネージュはまだ?」という声が届くそうで、今年は早めに登場しました。井上さんのお母さま秘伝のレシピを基に作られたカスタードクリームは、濃厚ながらいくらでも食べられそうなほど軽い味わい。デニッシュ生地との相性もバツグンです。
こちらのカスタードクリームは同店のエクレアやクリームバーにも使われているそう。
『ミルクフランス』194円
火・金曜限定のこちらの商品は、外バリ、中モチ食感のミニフランスパンに自家製練乳クリームをサンド。取材中、ちょうどミルクフランスを購入したお客さんに話を聞くと「この生地の食感とクリームの甘さが大好きで、仕事前に毎週立ち寄ります」と笑顔で答えてくれました。
そのほかハード系のパンは『ピーナツカスクート』や『めんたいフランス』、火・金曜限定の『ゴマいもパン』に火・木・土曜限定の『チーズパン』などがあります。
ちなみに同店のパンはどれも手のひらほどのサイズが多く、値段も手ごろ。日常的にパンを食べてもらいたいという思いも伝わってきますね。
『シナモンロール』184円
シナモンとカルダモンで爽やかに仕上げた『シナモンロール』は、シュガーフォンダンがかかっていないのが“イノウエ流”で、さっぱりとした味わい。甘過ぎずスパイスの香りがふわっと鼻から抜けるので、ぺろりと食べられます♪
甘い菓子パン類は『メロンパン』や奥さまも個人的に好きだという『チーズベリベリー』などが並ぶことも。毎年更新されるユニークな「干支パン」にもご注目。ちなみに辰年の2024年は龍の顔を模した抹茶生地にホワイトチョコレートのパンが登場。こちらは1年間、季節によって中身を変えながら販売しているのでお正月以降も購入できます。
・毎日食べたいもっちり食パンは予約がおすすめ♪
シンプルがゆえに日々の食卓に並べやすい食パン。耳までもっちりの同店の食パンは毎日正午ごろに焼き上がり、予約客やリピーターが多いそう。取材時も電話予約が入り、半斤を好みの厚さにカットしてもらうお客さんの姿も。
『食パン』
そのままでも、焼いても、耳がやわらかく食べやすいので、小さな子どもが耳も残さず食べてくれるといううれしい声も。予約は電話が確実ですよ。
毎年11月ごろから登場するクリスマスを象徴するデザートパン『シュトーレン』。同店では通常のシュトーレンとは異なり、マジパン(砂糖とアーモンド粉末を混ぜ合わせた生地)を使っていないのが特徴です。ラム酒に漬け込んだオレンジピールやドレンチェリー、レーズンなどのドライフルーツに、クルミやスパイスを練り込んだ濃厚な一品。
『シュトーレン』大1,296円・小680円 ※冬季限定
クリスマスまでの期間、薄く切り分けて少しずつ味わうのが醍醐味ですが、ついつい食べ過ぎてしまいそうになるのがうれしい悩み。切り分ける際は真ん中から切って、残りは切り口が接するようにして保存しましょう。乾燥を防いで長く楽しめますよ。
2024年度は惜しくも予約分で完売しましたが、毎年クリスマス前には登場する冬の風物詩なのでお楽しみに。プレゼントにもぴったりです。
・日々の食卓にパンでちょっとした幸せを
最近リニューアルしたショップカードは美大生の娘さん作。店内の至るところに飾られた絵画やイラストも娘さんが描いたものだそうで、随所に家族愛も感じます。
ちなみに、なんの偶然か香川を離れて暮らす娘さんも今はパン屋でアルバイトをしていて驚いたという小話もゲット。
2024年でオープンから18年を迎えた「INOUE BAKERY(イノウエベーカリー)」。「流行の映えるようなものは多くはないけれど、毎日食べても飽きないパンを提供できたらいいなぁ」と話す井上夫妻の穏やかで温かな人柄に、長年のファンが多いのも納得です。ちなみに製法のこだわりを聞いた際は「愛情がたっぷり入っています!」とのこと。地域の人たちをはじめ国内外の観光客まで幅広い客層に愛され続ける、パンの味はもちろん、接客や店づくりに至るまで、2人から大きな愛をたっぷり感じるお店です。
■詳細情報
■DATA
本記事はライターが取材・校正を行った上で作成した記事です。内容は2024年11月19日時点の情報のため、最新の情報とは異なる場合がありますので、あらかじめご了承ください。