【まんのう】「イチゴコロ」の朝摘みイチゴはひと味違う!有機肥料栽培&完熟まで待つ、ココロに残る一粒を♪
グルメ
イチゴ農家1年目、厳しい冬を乗り越えて、若き経営者の夢と情熱が詰まったイチゴが見事に結実しています。2024年12月1日、まんのう町にオープンした「イチゴコロ」は、朝摘みの完熟イチゴを直売する農園。香川県オリジナル品種の「さぬきひめ」をはじめ、「紅ほっぺ」「よつぼし」「あきひめ」の4品種を育てています。
“うどん脳”ならぬ“イチゴ脳”を自負する農園主・永野緑(りょく)さんを訪ねたのは、OHK2年目の佐藤樹理アナウンサー。「果物の中で一番イチゴが好き!」と、食べる専門の“イチゴ脳”として、こちらも引けを取りません(笑)。フレッシュな二人の談義、始まり始まり―。
目次
イチゴへの熱い思いが実る農園「イチゴコロ」
日本最大級の灌漑(かんがい)用ため池・満濃池がある自然豊かな町、まんのう町に、2024年12月1日、イチゴ農園「イチゴコロ」がオープン。
週2、3日だけ営業するかわいらしい直売所には、朝10時の開店と同時に多くの人が訪れ、午前中には売り切れてしまうほどの人気が続いています。
色づくイチゴをいとおしそうに眺める代表の永野緑(りょく)さんは、なんと元銀行員!安定した職業を捨て、農家へ転身するまでに至ったイチゴとの出合いは、社会人になって祖母の代わりに始めたという家庭菜園でした。
「銀行では社会貢献性をいまひとつ実感できず、自分の中で葛藤(かっとう)があったんです。でも、イチゴは祖母に喜ばれてうれしくて。その世話をする自分の姿が、子どもの頃にこんぴらさんで泥だらけになるほど夢中で遊んだ感覚と重なりました。関西で働きながらあちこちの農業ボランティアにも参加するうちに“やりたかったことはこれだ!”と」。
琴平町出身で、野球少年。「小さい頃から周りの人にすごく助けてもらいました。甲子園に出場した時の応援でもそれを実感して。
地域への恩返し・貢献がしたいという思いがずっとあり、農業を取り巻く深刻な高齢化や耕作放棄地の問題などを目の当たりにして、どうにかしたいと飛び込む決意をしました」と周囲への強い感謝の気持ちを語ります。
農業をやるからには大好きな「イチゴ」一択。きちんと学ぶために仕事を辞め、滋賀県の農業法人へ。
1年半にわたる研修を積み、ちょうど1年前の2024年3月、地元香川で育苗をスタート。香川県では珍しい有機肥料を使った栽培法で、愛情たっぷりに育った感動の一粒が次々と実っています。
荒れ果てた耕作放棄地をDIYで整備、挑戦と不安の連続
滋賀での研修中、偶然にも祖母の友人が所有する耕作放棄地となったイチゴハウスを紹介された永野さん。
農地探しの難しさを知っていたため、すぐに駆け付けたものの、そこには想像を超えるゴミだらけのビニールハウスが…。
「ここでイチゴが育つのか?」という不安を抱きつつも一念発起、滋賀と香川を行き来しながら地道な片付け作業に着手します。
佐藤アナ
何と言えばいいのか、本当に荒れ果てた状態で…。枯れたイチゴの苗もそのままですね。ここまでよみがえらせるのは、さぞかし大変だったこととお察しします。
永野さん
はい、滋賀から戻る限られた時間ではとてもじゃないけど追いつかなくて。家族や友人の力を借りてどうにか。天井がすべて破けるアクシデントもありました。
佐藤アナ
ご家族の応援は心強いですね!でも、技術を身に付けながら、農地も見つかって、着々と夢に近づくことができたんですね。
永野さん
いえ、それが順調でもなくて。ハウスを直すために香川県の新規就農の融資を受けるのに、計画書を作成したり、担当課の人を説得したり、クリアしなければならない困難が山積みでした。
県外の栽培方法では受け入れてもらえなかったり、香川県が指定する品種を作らないといけなかったり、農業者として認められるまでの過程がめちゃくちゃ大変でした。
佐藤アナ
これから新規就農する人たちにも興味深いお話ですね。覚悟がないと飛び込めない世界です。
永野さん
イチゴ農家は3月から育苗しないとその冬に間に合わないので、なんとか認可が間に合ってよかったです。
無収入の日々、周囲の期待とプレッシャー、育苗期間はたったの100株がちゃんと計画の6000株まで増えてくれるか、植え付けた後ほんまに花が咲いて実がなるのかって、たくさんの不安と戦いました。つぼみの頭が見えてきた時の安心感は忘れられません。
有機肥料で栽培、完熟まで待つから格別の味
「この株が“親”で、ここから“子ども”を作って増やしていって…」「へぇぇ!親株はずっと“親”で役目を終えるんですか!」と農園を見ながらイチゴ談義が尽きないお二人。どちらもイチゴバ…もとい、イチゴ大好きとあって、話題は栽培の仕方へ。
「イチゴコロ」の特徴は手間を惜しまず有機肥料を使って育てていること。一株ごとに手作業で固形の有機肥料を与え、微生物による少しずつの分解でその効き目がゆっくり表れるため、イチゴの成長もゆっくり。その分、味もゆっくりしっかり乗ってくるというわけです。
「こちらは紅ほっぺ。先端が猫耳型のものや、面積が大きいものがおいしいそうですよ!」と佐藤アナ。
ここまで赤く色づいた完熟の状態で摘み取ることができるのは、直売農園だからこそ。店頭に並ぶまでに時間がかかる場合は色づく前に摘まれ、後から赤くはなりますが、追熟することはないそうです。有機肥料でうま味たっぷり、完熟・朝摘みだから甘くて新鮮なイチゴを味わえるって、とてもぜいたくなことなんですね。
渾身の4品種で、忘れられない一粒を届けたい
では、いざ実食♪4つの品種を食べ比べま~す!
佐藤アナ
さぬきひめ、紅ほっぺ、よつぼし、あきひめを育てているんですよね。この4品種に絞った理由はどうしてですか?
永野さん
研修時代、関西で結構出回っていたのがその品種で、どれも間違いなし。そのおいしさや、さぬきひめ以外の品種も届けたいなと思ったんです。
佐藤アナ
そうなんですね。では、その渾身(こんしん)のイチゴをいただきま~す!
佐藤アナ
では、あきひめから…。
!!!あま~い!やわらかいっ!紅ほっぺは…本当にほっぺが落ちそうです!先端にいくにつれ、砂糖が入っているのかと思うぐらい甘いです。
さぬきひめは…かたさも水分量も、バランスがいい。練乳がかかってるのかと思うぐらい甘いです!よつぼしは…また全然違いますね?
永野さん
佐藤アナ
え~と、もう一口ずつ食べて確認しますね?(もぐもぐ)
あ、ダメです。それぞれに個性があって、もう1回食べたらこっちはどんなんだっけ…ってなって、どれもおいしくて飽きなくて無限ループしてしまいます(笑)
永野さん
佐藤アナ
はい!これからもおいしいイチゴを作ってください。
カフェも作ってほしいです。イチゴタルトが食べたいです。あとイチゴ狩りもしたいです、もちろんその場で食べたいです(笑)
永野さん
僕もまだまだやりたいことがたくさんあるので、これからも進化していきます。
直売所は週2、3日ペースでオープンするため、営業日はインスタグラムをチェック。ミニパック500円~、ギフトBOXをお願いすることも可能です(箱代別途)。
ちなみに、中心のクマのロゴは、ある絵本に由来。「シロクマって冬眠するからイチゴとは無縁な存在ですけど、その絵本ではシロクマがイチゴをとても楽しみに待っているんです。僕も心を込めて記憶に残るイチゴを作りたいし、イチゴを食卓で囲む時間も、心に残るものにしてほしいと思って、クマと店名に“ココロ”を使いました」。
ログハウス風の直売所は、永野さんのDIY!「動画サイトを参考にしながら」というから、その熱意と行動力には脱帽です。
濃厚な味わいの冬イチゴから、軽やかでジューシーな春イチゴへ移りゆく季節。「イチゴコロ」の新しい始まりの一粒を、あなたの五感で楽しんで。