JR多度津駅から車で約4分、多度津港からも程近い金毘羅街道沿いの「Tetugakuya(てつがくや)」は、50年以上前に建てられた銀行を改築したカフェ。中世ヨーロッパを感じられるアンティークなインテリアに囲まれた店内は、異空間へと迷い込んだ感覚になります。女性店主が来店客との会話を楽しみながら、店自体が常に成長を続けるカフェです。
・哲学カフェ「Tetugakuya(てつがくや)」
JR多度津駅から車で約4分、古い街並みが残る金毘羅街道の多度津港側の始点でもある多度津町東浜にある「Tetugakuya(てつがくや)」。築50年以上の建物を改築した同店は、その名の通り“哲学カフェ”として、自身も哲学を学んでいる店主が1人で営んでいます。
周辺には桜の名所「桃陵公園」や大正時代の香り漂う「藝術喫茶清水温泉」、おみやげショップ「おのみち屋」などがあり、散策がてらふらりと立ち寄るにもぴったりなロケーションです。お店の前は一方通行なので、車で訪れる人はご用心。
重厚なガラス扉を開け、一歩足を踏み入れると、大正・昭和の風情あふれる街並みから一転、ゴシック洋式の異空間が広がります。中世ヨーロッパの洋館へと時空をトリップした気分になりますよ。
たくさんの古い時計やピアノ、チェスボードや地球儀、店主のお父さんや常連客が寄贈したという書籍がずらりと並ぶ書庫など、アンティークなインテリアで埋め尽くされています。書庫を装飾する彫刻は、常連の人の手作りだそう。インテリアに限らず、店主と客、来店客同士のコミュニケーションを基に、常に進化を続けている同店。一点一点が大切に集められ、壊れやすい骨とう品や寄贈品ということもあり、中学生に満たない子どもは残念ながら入店できません。大人になる日をお楽しみに♪
装飾の中でもひときわ目を引くカウンターの額縁パーテーションは、舞台美術も手がける美術家が、この店の雰囲気をくみ取ってデザインと施工を担当してくれたのだそう。コロナ禍では感染対策として使用していたパーテーションですが、希少なカウンター装飾として、今でも同店のアイコンとして活躍しています。
「ゆったりお客さまとの会話を楽しみたいので、大人数ではなく1人または2人での来店を推奨しています」と店主の杉原さんは話します。カウンターの額縁越しに店主と交わす会話は、まるで映画のワンシーンのよう。話好きさんはもちろん、普段は話すのが苦手な人でさえも、話し上手な上に聞き上手でもある店主とのやり取りで、いつも以上に会話に花が咲くかもしれませんよ。
カップ&ソーサーもアンティークなデザインのものが並びます。じっくりと時間をかけて探し、店主のお眼鏡にかなったティーカップだけを買いそろえているのだそう。お気に入りのカップを見つけてコーヒーをいれてもらうのも楽しみの一つですね。
・トークの合間にホッと一息
『珈琲(ディアレクティケ)』700円
コーヒーの味の表現もどこか哲学的で、メニューには「透明でスッキリ消えてしまうのに芯にしっかり苦味も感じられます」と説明があります。仕入れ先のコーヒー業者に店主がイメージを伝え、そのイメージに合ったコーヒー豆をオリジナルでブレンドしてもらったそう。来店客だけではなく、出入りの業者までもこの店の雰囲気作りに参加しているというわけです。
メニューの提供時も目が離せません。カウンターの額縁のアクリルフィルターが静かに開き、そこから手を伸ばして、ドリンクやスイーツが差し出される光景は同店ならでは。ここでしか体験できないカフェタイムは記憶に残ること間違いなしですよ。
『ベアトリーチェ』800円
来店客との会話の中にあった“カフェインレスのドリンク”というワードから誕生したというフルーツティー『ベアトリーチェ』。カフェインレスであることももちろん、店主の頭の中に描いた“色がシックで深みのある”ドリンクを形にしたそう。リンゴやハイビスカス、オレンジピールの酸味と、砂糖漬けの果実の甘さの上にニッキのスパイス感が効いた、大人味のアイスティーです。なぜこのネーミングなのかは、店主に聞いてみて。うっとりするようなロマンティックなストーリーが秘められていますよ。
・どこか哲学的な晴れやかスイーツ
『パヴロヴァ』600円
口の中で甘く溶け出すかわいらしい形状のメレンゲ菓子『パヴロヴァ』。店主がニュージーランドで出合ったスイーツを再現したもので、焼きメレンゲにはアイスクリームやホイップクリームが添えられ、トッピングされたフルーツの彩りもかわいらしい一皿です。
『チョコサンドクッキー』各300円
コーヒーや紅茶のお茶請けとしてもぴったりなサンドクッキーは、チョコとホワイトチョコの2種類。お店の雰囲気とマッチしたおしゃれでレトロなデザインのロータスクッキーに、アーモンドやカシューナッツをふんだんに混ぜ込んだチョコレートがたっぷりと挟まれています。
『小さな王様と僕のロイヤルプディング』600円
こちらも意味深なネーミングの『小さな王様と僕のロイヤルプディング』という冷たいスイーツ。昔ながらのフルフル食感のプリンに、ホイップクリームとベリーがオン。あしらわれたエディブルフラワーが心を和ませてくれます。重厚感のあるシルバーの食器もやはり骨とうもので、今となっては入手が困難な一品だそう。
味変が楽しめるキャラメルシロップ付き。小さなデザートの世界を堪能してみて♪
「お店のインテリアもメニューも完成形ではない」と語る店主。来店客との会話やつながりで「Tetugakuya(てつがくや)」自体が成長してゆくのを楽しんでいるようにも感じます。ドリンクで一息つくのもよし、店主との会話に花を咲かすのもよし、俗世間から抜け出したようなこの空間に身を置いてリラックスしてみませんか。
■詳細情報
■DATA
本記事はライターが取材・校正を行った上で作成した記事です。内容は2024年7月5日時点の情報のため、最新の情報とは異なる場合がありますので、あらかじめご了承ください。